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「一目惚れにしろ何にしろ、誰かが誰かに執着する理由は人それぞれだ。そこは別にいい。ストーカー行為も一応は肯定する。けどみどの場合。南雲に何のアクションも起こしてないだろ」
「…………」
「南雲の行動範囲行動パターン全て把握して理解してるだけで、まぁそれだけでも十分気持ち悪い、っ!うん、ごめん待ってタンマタンマ。もうちょっとだけ我慢して。一番聞きたい事聞けてない……それでお前さ、南雲に何か話しかけたか?話しかけてないだろ。SNSでメッセとかも古典的にラブレターとかも渡してないし南雲に対して、水鳥川不由子という存在を知らしめてないじゃん。あいつ、そもそもみどの事知らねぇだろ。お前マジで今、ただのモブ女状態だぞ」
「………」
「そもそもお前は、水鳥川不由子はそういうまどろっこしいもんとか遠回りが一番嫌いな女だと俺は思ってた。いや、今も思ってる。片思いでうだうだ悩んでるくらいなら、体育館裏にでも呼び出して直接伝えて玉砕する方がマシだって、そう考えてる奴だと思ってる」
「……」
つらつらとよどみなく流れていく言葉に、用意できる答えも反論もなくて。
「おっと。なぁ、みど」
結局掴んでいた胸倉を放り捨てて、そのまま階段へと足を運ぶ事しかできない私の背中を。
「お前は南雲とどうなりたいの?」
犬山の言葉が、弾丸になって貫いた。
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