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「この蛍光灯の色はどんな色なの?」
ミユキは灰色の天井を指した。
ミユキは蛍光灯の色を知りたいのだ。
ミユキは生まれつき目が不自由だ。
ミユキにどのように蛍光灯の色を伝えればいいのだろうか。
明日香は答える。
「この蛍光灯の色は……本当の白よ」
「明日香、本当の白ってどんな色?」
「ミユキ、本当の白って濁りのない純粋な色よ」
「明日香、じゃぁ私の心はどんな色かしら?」
「ミユキ、あなたの心は……この蛍光灯と同じ……白よ」
「明日香、ありがとう。この蛍光灯の色が想像ついたわ」
ミユキは明日香の方を向いた。
ミユキは栗色のミディアムショートの髪を揺らした。
ミユキの桃色の口元が少し上がる。
「白が想像つくと……他の色も想像つくわ」
ミユキは灰色の天井を見た。
「ミユキ、本当の白って濁りのない純粋な色よ」
明日香はミユキに微笑んだ。
ミユキは明日香の手に触れた。
天井の蛍光灯が二人の手元を照らした。
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