純粋な白

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「この蛍光灯の色はどんな色なの?」 ミユキは灰色の天井を指した。 ミユキは蛍光灯の色を知りたいのだ。 ミユキは生まれつき目が不自由だ。 ミユキにどのように蛍光灯の色を伝えればいいのだろうか。 明日香は答える。 「この蛍光灯の色は……本当の白よ」 「明日香、本当の白ってどんな色?」 「ミユキ、本当の白って濁りのない純粋な色よ」 「明日香、じゃぁ私の心はどんな色かしら?」 「ミユキ、あなたの心は……この蛍光灯と同じ……白よ」 「明日香、ありがとう。この蛍光灯の色が想像ついたわ」 ミユキは明日香の方を向いた。 ミユキは栗色のミディアムショートの髪を揺らした。 ミユキの桃色の口元が少し上がる。 「白が想像つくと……他の色も想像つくわ」 ミユキは灰色の天井を見た。 「ミユキ、本当の白って濁りのない純粋な色よ」 明日香はミユキに微笑んだ。 ミユキは明日香の手に触れた。 天井の蛍光灯が二人の手元を照らした。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!