01 青藤八は、胡乱なプロローグを迎える

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つらつら人間の一生を見るに、罪といふ事よりも、罪といふ事を自ら知らざるものほど大なる罪人はあらじと、思はるなり。 確か過去に、どこかの詩人が遺した言葉だ。 ようは、自分の行ったことが罪だとわかっていない人間が、一番の大罪人だと言っている。 「お前が、一番の大罪人だよ、八」 誰かの声が、聞こえる。誰の声だったっけ。 でも、とても大切な人だったような、そんな気だけはするんだ。 だから、きっと私は、この人にこんなことを言わせて、傷つけて……悲しかったんだ。
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