第10章 俺だけの物語

8/13
前へ
/273ページ
次へ
 お前の中にある物語は親のものでも友人のものでもない。自分だけの物語だ。 だから自分が自分自身で選べ。自分の物語を。  だから……俺がいなくても関係ない、俺がいなくてもいい、自分がいればいればいいんだ、自分で作れ、自分だけの物語をな。  でも、できたら”母さんと一緒に”』  『自分だけの……物語』?  なんで親父がこの言葉を……?  『自分だけの物語』、俺が大切にしている言葉。その言葉は誰かの偉人が言った言葉だったか、はたまた何か本や漫画で見たセリフなのかは覚えていないが、大切にしている言葉。  俺が心にとどめている言葉……なのに……なぜ、親父が……? 「お前は、俺がいなくても大丈夫だよな」 「何がだよ! そうやってまたいなくなるんじゃねえか!」 「まあ、そうカッカするなって。別にもう帰らないってわけじゃないだろ?」 「帰ってもどうせすぐ、また出ていくだろ!」 「でもすぐ帰ってくる」 「親父のすぐは一ヶ月以上だ!? 話にならねえよ!」 「わかったわかった。今度は早く帰ってくるから」 「そんなの何度も聞いた嘘だろーが! そんなに俺と母さんが嫌いか!」 「ああ、もうピーピーうるせえな。母さん、悠斗のことよろしくな」 「おい、逃げるなよ! 逃げるなよ! 親父!」  …………     
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加