壁越しのふたり

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突然だった。 溜め込んでいた音は溢れて止まない。 「ちょっと、どうしたの?どこか痛いの?!」 いつもとは明らかに違う。 私は逡巡しながら、一度の拒絶に仕舞い込んだ言葉を口にする。 「…そっち行こうか?」 トン 音は、一回。 「来ないで」のノーではない。 あの時とは違う、彼の小さな願い(SOS)だった。
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