仕事

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皆さんはご存知ですか? 「足跡」という名の本が存在することを。 ……、知りませんよね?だって、そのことは、私以外に知る者はおらず、今までそのことを誰かに話した記憶がありませんから。 じゃあなぜ、今日はこのことについて話すのか、と思ったでしょう。それについては後でご説明します。 えっと……、「足跡」とは何か。 それは、人類の一人一人の人生が書かれた本なのです。長い長い日記帳、というところでしょうか。 「足跡」たちは、私が管理する「人生図書館」にすべて納められています。 ちなみに、「人生図書館」と名付けたのは私なのですよ。それまで、人生図書館に名前はなかったのです。 私は、その人生図書館の管理人なのですが、私のほかに管理人はいません。管理人どころか、清掃員も受付担当の人もおりません。ここにいる生き物は私のみとなります。そして、私以外誰もこの人生図書館に入ることを許されません。というか、存在自体知られてはいけません。 人生図書館にあるのは、人生図書館という建物、大量の本棚そして全人類分の「足跡」と私。 何が人生図書館にあるのか、大体お分かりいただけたでしょうか? では、私の役目についてお話ししたいと思います。
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