白想花

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ある小さな村にとても仲のいい女の子と男の子がいました。 女の子の名前は「ミラ」。とても明るく、元気な子。 男の子の名前は「テオ」。ちょっぴり泣き虫。だけど優しい子。 二人はとても小さい頃から毎日一緒に遊んでいました。 しかし、ある日を境にミラは来なくなってしまったのだ。 テオは、不思議に思い、ミラの家へと駆け足で向かった。胸騒ぎがした。 風邪の時はいつもミラのお母さんが教えに来るのだが、それも無い。 悪い想像ばかりテオを包む。 家に着き、ドアをノックしようとした時、話し声が聞こえた。 ミラのお母さんとお医者さんの声のようだ。 「先生、娘の状態はどうなんでしょうか…。」 「大変申し上げにくいのですが、とても重い病気にかかっております。私の手ではどうしようにもないです。」 「そんな…。」 そう言って泣き崩れてしまったミラのお母さん。 テオはあまりの衝撃と隠しきれない涙を消し去ってしまうように、走った。 走って、走って、走った。 気が付いたら、村がオレンジ色に染っていた。 周りを見ると山のふもとの市場にまで来てしまったようだ。 「まずい、帰らなきゃ。」 足を家へと急がせようとした時、ある男の話が耳に入った。 「お前知ってるか?白く光る花があるらしいんだけど、それを持ってると、幸せになれるらしいぜ」 「あぁ、知ってるぜ。持ってるやつの娘さんの病気がすっかり治っちまったんだろ?すげーよなぁ。」 「でも三年に一度しか咲かないらしくてなぁ―」 テオは目を見開いた。「これだ!」と考える間も無く、白く光る花を探すことにした。
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