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次の日、テオはミラの家に訪ねた。
「あら、テオくん。今日はどうしたの?」
顔色が青白くなったミラのお母さんが出てきた。
「ミラのお見舞いに来ました。」
「病気のこと知っているの?」
「はい、だって、『友達』ですから。」
「そうよね。ありがとう。さぁ、あがって。」
そう言われ、家へと入った。家の中は殺風景と化していて、まるで病室のようだった。
「ミラ、テオくん来てくれたよ。」
「本当…?」
いつもと変わらない綺麗な、いつもよりか細い声が聞こえた。
「ミラ?僕だよ。テオ。入ってもいいかな?」
「うん。いいよ…。」
ドアを開けると、ベッドから痩せ細った上半身を起こし、いつも変わらぬ笑顔でこっちを見ていた。
「テオ…!ごめんね、急に会えなくなっちゃって。」
「僕こそ、全然来れなくて…」
「大丈夫だよ。こうやって、今、目の前にテオが居るんだから。」
「へへっ。ありがとう。それより体調は大丈夫?体も細くなっちゃってるし…。」
「あーあはは。なんかねー大きな街にある病院に行かないと治らないらしくてねーでも、お金がかかるし、行かなくていいかなーって」
ミラは笑顔だった。とっても寂しそうな笑顔。目はとても潤ませていた。見ている僕まで辛くなってくる。
そんな事を忘れさせるように僕は色々な話をした。面白い話、物語、噂。
でも、一つだけ話さなかった。話せなかった。「未来の話」だ。
今度は何がしたいのか。今度は何して遊ぶのか。『今度は』
ミラにはもう『今度は』無いかもしれない。だから、できなかったのだ。
日が沈み始めたので、帰ることにした。
「テオ!また今度も来てね!」
ドキッとした。ミラは『今度』を信じている。
「うん。また、今度来るよ。」
僕は背を向け、家を出た。『今度』期待をしたくないけど、してしまう。
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