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テーブルの上にうず高く積まれている封筒の山から、適当に一つを選び取る。微塵の感慨も持てないまま、傍らに置いてあったペーパーナイフで、ピリピリと封を開けていった。
(長ったらしい、文章だこと……)
中を開いてみれば、三枚もの便箋に細かくて読みにくい文字が、びっしりと隙間なく綴られていて、一気に読む気が失せた。
手に持っていたそれを、ぞんざいに床へと放り投げる。一人掛けのソファーの背凭れに深く沈んで、肘掛けに頬杖をつくと、自然と深い溜め息が溢れた。
(こんなの、ただの苦行だわ……)
薄っぺらい紙に羅列された、薄っぺらい陳腐な言葉から、一体何をどう読み取れというのだろう。
緩くウェーブの掛かった、腰まで伸びた赤銅色の髪を、片手でがしがしと乱暴に掻き乱す。世話役の乳母が見たら、御髪が傷むから止めてくれと、小言を述べてくるところだが、幸いにも今このただ広い部屋にいるのは自分一人だけだった。
(けれど、嘘でも何でも、この中から選ばなきゃいけないのよね……)
それが今の私に与えられた責務であり、この国の王女として生まれたからには、果たさなければならない役目であった。
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