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 紐で括られた手紙の束を、そっと乗せてくれた少年は、一歩下がって胸に手を当て、恭しい礼を返す。 「ここへの届け物は、しばらくは僕が運ぶことになっているんです。あの……、もし良ければ、また貴方に受け取って頂いてもよろしいでしょうか?」  少年の申し出は、私にとっても、とても好都合なものだった。まさかこんなに事が上手く運ぶことになるとは予想外だったので、咄嗟に何度も首を縦に振ることしかできなかった。眼前の少年の顔が、みるみる笑顔になる。 「ありがとうございます。では、また明日! 同じ時間帯にお届けにあがりますね」  少年は元気よく手を振った。先程まで落ち着いた雰囲気はどこへ行ったのか、その去って行く様は年相応の無邪気な様子で、何だか見ているだけで心が安らぐ少年だなと思った。 (そういえば……)  預かった手紙の束を胸に抱え、ふと思考を巡らす。 (こんなに近くで人と話したのは久し振りだわ)  とは言っても、会話をしていたのは少年だけで、私は何一つ、言葉を返せていないのだけれど。 (明日も会えるのか……)  次の朝が、とても待ち遠しかった。
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