ひより

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「かあぁ――さんっっっ!」  首を傾げたままのあたしの背後から、お風呂から出てきた遼ちゃんの怒鳴り声が飛んできた。  びっくりして振り返ると、肩にバスタオル掛けた遼ちゃんが腕組んで仁王立ちしてた。お顔が、すごく怒ってます。 「何言っちゃってんの!? ひよはまだ16になったばっかだろ! そういう事は近所のオバハンが教える事じゃないんだよ!」 「あらいやだ、遼太。この情報社会で今の高校生に早いも何もないでしょ。アンタ高校の先生なんだからそのくらいは……」 「もーぅいいっっ! ひよっ、来いっ!」 「あ、ちょっと、遼ちゃん」  遼ちゃんはあたしの手を掴み、ズカズカと階段を上り始めた。 「ひよちゃーん、後で一緒にご飯食べて行ってねー」  遼ちゃんに怒鳴られるのなんか慣れっこのおばさん。ニコニコしながら階段下から手を振っていた。
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