40人が本棚に入れています
本棚に追加
「だいたいさぁ、『ホワイティエンジェルス』とか漫画にでも出てきそうなネーミング、どうにかしろって感じっ。ほんとセンスのかけらも……」
ため息をつきながら小田部係長が椅子に腰を下ろそうとしたとき、その瞬間を待っていたように突然スチールラックの固定型無線機がけたたましい音を上げた。
『県本部から中央!』
県警本部通信指令室から中央警察署宛ての無線。
ちょうど休憩中だった第二警ら係の巡査部長と巡査長の二人が談笑をやめて、一瞬にして事務所が静寂になる。
『中央です、どうぞ!』
『現在、中央署管内、中央区赤坂においてコンビニ店に対する強盗容疑事案が入電中。待機車両開局、現場方向へ直行させよ! どうぞ』
『中央了解』
コンビニ強盗だ。
先週から連続発生、これで3回目。白昼堂々の犯行なのに、まだ犯人の手掛かりが掴めてなくて、そろそろ特捜が立ち上がるかといったところ。
事案の発生状況はまだまったく流れていないが、とりあえず待機しているパトカーを現場方向に出せという本部の指示だ。
この無線を聞いた中央警察署のパトカーや交番の警察官はすぐに体制をとって、次の無線で手配される犯人の特徴や被害品などの情報を聞き漏らすまいとさらに耳をそばだてているはず。
最初のコメントを投稿しよう!