いとし年越し2

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いとし年越し2

 最終的に手荷物は、スーパーの袋二つに牛丼屋の袋一つ、全部で三つになった。  スーパーの袋を両手から提げる乾の後ろで、牛丼の具の偏りを気にしながら階段を上る。 「おお」  玄関の鍵を開けた乾が、少し仰け反ってから慧斗を振り返った。 「俺にも静電気、来た」  嬉しそうに言うから、笑ってしまったではないか。  乾は荷物を置き、ハイカットのスニーカーをごろりと脱ぎ捨てると、まずはヒーターのスイッチを入れに行く。 「うわ、何℃だと思う?」  身震いする程度には寒い。慧斗もスニーカーを脱ぎ、部屋に上がりこんだ。 「わかんないけど、一桁だと思う」 「正解。八℃だって、八℃」  部屋が暖まるまで、まだしばらくジャケットは脱げない。  乾はというと、さっさとコートを脱いでハンガーにかけ、カーテンを閉めながらリモコンをテレビに向けて電源を入れる。夕方のニュースが流れているところだ。 「昼間、大掃除したから、どこ座ってもだいたいきれいだよ」 「大掃除?」  このシンプルな部屋の、どこを大掃除できるんだろう。 「つっても、カーテンレールとか拭いて、いつもよりちゃんと掃除機かけたくらいだけど。あ、でも水周りは本気で掃除した」     
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