第四章

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「あの首輪はお前の波長に合うよう設定してある。念じれば作動するよ」 「ふふ。ああいうプライド高い奴は牢につなぐよりこういう罰のほうが効果的でしょ」  警察長官、恐い恐い。美少女が艶やかな笑みで言うとさらに恐い。 「ところで、自称『生き神』の件ね。奴を祀ってた神社の取り壊しは完了。浄化も済。ただの更地になってるわ」  後始末は妖狐警察主導で比良坂さんの監督のもと行われたらしい。 神主はじめ主だった者はすでに人間の警察に逮捕され、現在収監中。綺子ちゃんが紹介してくれた弁護士が言うには、一転して容疑を否認&責任転嫁、取り調べの担当者への態度も非常に悪く、あれじゃ実刑は免れないそうだ。 「残りの人間だけど、つくづく愚かねぇ。いまだに自称『生き神』を信仰してるのもいるし、下手したら新興宗教作るんじゃないかしら。あぶな。あなたたちを逆恨みしてる連中もいる。何かやったらストーカー規制法で逮捕してあげるわ」 「何かする前に俺が排除するけどな。ただ初詣シーズンは不特定多数が集まる。注意しておこう」 「うちの部下も店員装って要所に配置する予定よ。使ってちょうだい」 「恩に着る」 「人間外の襲撃はまずないだろうな。なにしろイザナギ・イザナミ夫妻が加賀地東子さんの宿命について公表した上、結婚の証人になってる。この現状で手出しするアホはいないさ」  後で詳しく説明を受けたところによると、神様たちをクリパ口実に集め、大御所夫妻があたしの特殊な宿命を発表、そのまま結婚式させるってのは一連の計画だったそうだ。ギリシャ神話の女神テテュスと同じである。夫を決め、神々が式を行うことで誰にも異議を唱えさせなかった。そうして彼女が悪用されることを防いだんだ。  テテュスの場合は夫が人間なんで死後は?って疑問はあるけど、エリュシオンに厳然として『夫がいる』。死んだとはいえ『いる』神々が決めた配偶者を無視して再婚求めることはできないってことかな。  そのケースを参考にしたわけだ。さらに宿命のことをバラしておけば、近づいてくる者の動機は誰の目にも明白。  そんな奴がいれば、まず九郎がブチギレるだろう。悪名高い八岐大蛇の息子の怒りをわざわざ買う阿呆がそういるとは思えない。九郎がキレたら親友のスサノオノミコトもタッグ組んで参戦する。  これだけでかーなーりヤバイ。
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