遂に入学

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教室に案内してくれた教師は、生徒に配る何かが足りないと言って教室を出て行った。 戻って来るまで教室から出なければ、多少自由にしていていいと言われて、それぞれ教室内を自由に歩き回っている。 でも、僕にはこの教室内に知り合いは居ないし、元々屋敷からもあんまり出ていなかったから家族以外の知り合い自体少ない。 そんな僕に話し掛けて来る相手は誰も居なくて、一人でポツンと椅子に座って教師が戻って来るのを待っている。 私だった時の入学式の時も、こんな風に誰も話しかけてこなかった。 自分から行けばいいのかもしれないけれど、あの時は公爵家の令嬢として第3王子の許嫁として、誰かに気軽に話しかけるのははしたないと思っていたからしなかったけど、今の僕ならしても大丈夫かなと周りを見渡してみる。 でも、何て話しかけたらいいんだろうと考えていたら、いつの間にか教師が戻って来ていた。 教壇には教師が持って来たと思しき箱もある。 「皆さん、入学おめでとうございます。 今から生徒手帳を配りますので名前を呼ばれた人から前に出てきてください」 そう言うと教師は生徒手帳を配り始めた。 配られた生徒手帳は手帳と言うよりもカードと言った方がいいような見た目をしていた。
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