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「シャルが混乱してフリーズしちゃったわね。
レナード、シャルを運んで頂戴。
部屋にシャルを置いたら、一度私の部屋に来なさい。
今日到着しているはずだから護衛の引継ぎをしてもらうわ」
「了解しました」
姉上はそれだけ言うとさっさとその場を後にした。
エドワード王子も苦笑しながらその後を着いて行く。
レナードはその場に残り、まだ混乱していて動けないでいる僕を横抱きにすると寮の方へと歩き出した。
寮へと向かう道すがら、下校途中の他の生徒達から視線を集めてしまい、ただレナードの胸へと顔を押し付けて顔を隠すだけしか出来なかった。
後で思ったんだけど、何故あの時の僕はレナードの腕の中から降りると言う選択肢が何故思い浮かばなかったんだろう…
「着きました。扉を開けてください」
「うん、分かったからそろそろ降ろして?」
「別にこのままでいいでしょう。さぁ、早く開けてください」
降ろしてくれなさそうなレナードに嘆息しながらも部屋の扉の横にある生徒手帳を読み込む場所に押し当てると、扉の鍵が開錠される音が聞こえた。
「坊ちゃん、お帰りなさいませ」
扉を開けるとばぁやからの挨拶が待っていた。
けど、僕が横抱きにされているこの状態については特に何も言ってはこなかった。
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