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「シャルは来年の卒業式の後のこの見送りで俺を見送ってくれるか?」
「いきなりどうしたんですか?」
エドワード王子は僕の手を引いて動きを止めただけでなく、後ろから抱きしめて来てそんな事を僕の耳元で囁いて来た。
耳元で囁くから、息が当たってくすぐったい。
「……一応はお世話になってますから見送りはしますけど、エドワード王子なら見送りに残る人は多いんじゃないんですか?」
「そんな有象無象はどうでもいいんだ。
俺はシャルだけから見送られたい」
他の在校生を有象無象呼ばわりするのは一国の王子としてどうかと思うけど、エドワード王子に言われた言葉は思いのほか僕にとっては嬉しく感じてしまった。
…あれ?今まではそんな風には思った事無いのに…
「そんな来年の事を今から言っても仕方ないですし、もう教室に戻りましょうよ」
「…仕方ないな。
俺の名前を敬称無しで呼んだら戻してやる」
あれ?またエドワード王子の名前か愛称を呼ばなきゃダメなの?
それにガッチリと抱きしめられているから抜け出そうとしても無理だし、僕の力じゃ抱きしめる腕を解けない…
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