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「細かい動きをするのは右手の指で、こっちは弦に触れてさえすればリズムに合わせて動かせばいいだけなんだ。初めてやりたい事が出来て、それからずっと弾いている」
「だから何？そんな思い出話、聞いても何の解決にもならないよ。ぼくは弱くて、やり返せない自分が嫌で、それで─」
「やり返す必要なんて無いよ。死ぬ必要も無い」
ご主人様はきっぱりと仰いました。
「私も弱い自分を呪ったし、やり返さない限りずっと辛いままだと思っていた。でもこれを弾くようになってから辛さが紛れて、楽しい事を考えていられる時間が増えたんだ。
これを弾いている間は、胸の奥深くがあたたかく、安らいでいられるんだよ。ぬくもり、というのかな。君に必要なのもぬくもりだ」
「ぬくもり？」
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