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大学生になってから一年後の春、洋様はまた私を外に連れ出しました。
高校受験時の猛勉強故か勉強がよくできる洋様は家庭教師のバイトというのをしておられます。住宅街の中の一つ、二階建ての家の前でチャイムを鳴らすと勢いよくドアが開きました。
「棗せんせー、待ってた!」
「こら円、まずは挨拶でしょ?」
ドアを開け飛び出したのが生徒となる小学生の女の子で、続いて出て来たのがお母様のようでした。
「そうだぞ、円~」
二つ結びの髪の円様は、たしなめる洋様が背負うケースを指差します。
「それ、ギター!?聴きたい、聴きたい!」
チャックが少し開いて、ネックが見えていたのでございます。
「その前に勉強だろー」
小さな頭に手を置く洋様は、円様ととても仲が良いようでした。
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