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「そりゃあなったさ。事ある毎にノロマだと笑われる、不気味だとからかわれる。悲しくて悔しくてたまらなかったなあ」
ご主人様は当時を懐かしむように、ぎりっと歯軋りをしました。
「でもある時、たまたま寄った中古屋でこいつに出会ったんだ。楽器も音楽もちっとも興味が無かったんだが、数少ない友達が学校で楽しそうに弾いてたのを思い出して、買ってみたのさ」
ご主人様は歪な左指がネック(取っ手のように長くなっている部分でございます)、右手が穴の開いた部分(サウンドホールといいます。ご主人様が弦を弾いて起こす振動は私の体内で共鳴し、ここから外に出るのです)のあたりに来るように私を持ちました。
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