第0話 冥界のおまわりさん

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こうして俺は、再生プログラムと呼ばれる研究の契約書に、サインをし、タイムリープをすることになった。 消したくない、やり直したくないと思える幸せの宝箱は、手放すのではない。 この中に入っていた綺麗なものを、今度は、三雲さんの人生に運びに行く。 「契約書、ありがとう。無事に受理したよ。 お次はタイムリープの門まで、向井くんをお送りするよ。門をくぐれば、もう君は高校の入学式から再スタートとなる。 過去を手放す代わりの特典としては、記憶は引き継がれるから…….うまく、二度目の人生に活かしてほしいな。大学四年生の夏で、君がまた死ぬことには、変わりないけどね」 こんなにあっさりと、過去に戻って、もう一度、人生をやり直せるとはな。 二度目の、期間限定の人生。 エンディングの形は、もうわかってしまっているけれど。 俺はもう一度……生きて、生きて、生きてやろうと、心に決めた。 「色々、ありがとうございました。えーっと……」 「ああ、名前ですか? おまわりさんで良いですよ」 「わかった。おまわりさん。俺、もう一度頑張ってくるよ」 「……はい。またお会いできる日を楽しみにしておりますから」 それから、おまわりさんに案内された、タイムリープの扉を俺はくぐることになるのだが。 彼の名前を聞いておけば良かったと、後々、俺は後悔することになる。 それはまだ……先の話だ。
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