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こうして俺は、再生プログラムと呼ばれる研究の契約書に、サインをし、タイムリープをすることになった。
消したくない、やり直したくないと思える幸せの宝箱は、手放すのではない。
この中に入っていた綺麗なものを、今度は、三雲さんの人生に運びに行く。
「契約書、ありがとう。無事に受理したよ。
お次はタイムリープの門まで、向井くんをお送りするよ。門をくぐれば、もう君は高校の入学式から再スタートとなる。
過去を手放す代わりの特典としては、記憶は引き継がれるから…….うまく、二度目の人生に活かしてほしいな。大学四年生の夏で、君がまた死ぬことには、変わりないけどね」
こんなにあっさりと、過去に戻って、もう一度、人生をやり直せるとはな。
二度目の、期間限定の人生。
エンディングの形は、もうわかってしまっているけれど。
俺はもう一度……生きて、生きて、生きてやろうと、心に決めた。
「色々、ありがとうございました。えーっと……」
「ああ、名前ですか? おまわりさんで良いですよ」
「わかった。おまわりさん。俺、もう一度頑張ってくるよ」
「……はい。またお会いできる日を楽しみにしておりますから」
それから、おまわりさんに案内された、タイムリープの扉を俺はくぐることになるのだが。
彼の名前を聞いておけば良かったと、後々、俺は後悔することになる。
それはまだ……先の話だ。
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