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……ああ、いかんいかん。思わず、ださいを連発してしまった。
こういう考え方、偏見が良くないんだ。
少し決意したと思ったら、また前の考え方に戻ってしまっている。
「僕が決めたんじゃないよ。プログラムや魂の罪のレベルを決めてる機関が、この課題を設定してきたんだよ」
お馬鹿な内容かと思ったら、警察官の言い回し的に、どうやらこの内容、お偉いさんが考えたらしい。
お偉いさんが、俺や三雲さんの人生を見た時に、この課題が一番、ふさわしいと思ったということか……?
なぜそんな結論にたどり着いたのか、甚だ不思議だ。
そもそも、あの子が人のことを好きになるなんてことすら、あるのかどうか。
それすらも想像がつかない。
隣の席だったことはあれど、三雲さんのことを、俺は全く知らなかった。
話しているところも、全然、見たことがない。
「まあ、四の五の言ってないでさ。向井諒人くん。君が、現世で周りの人から評価を受けていた理由は、明るく元気なところ、自己主張の強さ……そして、思い切りの良さだったはずさ」
「……そりゃどうも」
のっぺり、のらりくらり、まったり。
この警察官にお似合いのフレーズはこんなところだが、まさにそんなペースで、俺は丸め込まれていっていた。
「三雲さんと、俺が付き合えなかったら、この研究は失敗なのか……?」
「そういうことになるね。だから、地獄行きだ」
「……物騒なことをあっさり言うなよ! 期間はどれぐらいもらえるんだ?」
「特にない。君が諦めた時が、この研究の終了かな」
なかなか、漠然としているな。
ただ、期間が限られていないのは良かった。
俺は、絶対に諦めないからだ!
「でも、普通に友達になった方が、絶対に三雲さんのこと救える気がするんだけどなあ……」
「まあまあ。お偉いさんには、なにかしら考えがあるんだよ」
お偉いさんの考えていることはわからん、と生きてた頃もよく大人が言ったり、ドラマとかの台詞でもあったけど、それは死んでも変わらないらしい。
「よくわかんねえけど……あ、タイムリープしてやり直せるのは、いつのタイミングからなんだ?」
「鋭い質問だね。高校の入学式の日からかな。ここから、やり直してもらうよ」
「わかった。ちなみに……この日から、本当の歴史とは違う行動取るってことはよ、過去が改変されちまうって、ことだよな……?」
俺の頭の中に、一人だけ、ぼんやり姿が横切る存在が居た。
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