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ぞわりと背中を這い上がった痺れに酩酊した涼は、目の前のネクタイをきゅっと引っ張ると、顎を上げて恋人の唇に自分のそれをゆっくりと重ね合わせる。
「ーー俺も、赤より……お前の青がいい」
触れ合わせたままそう呟けば、可愛い雄が、がぶりと涼に喰いつく。
赤い花に隠されるより、年下の男の青に食い散らかされる方が、よほど幸福だなーー。
情熱的な深いくちづけを受けながら、涼は愛おしい年下の恋人の首にゆっくりと手を回したのだった。
恋はまだ、始まったばかり。
染められ、散らされ、喰われてーーそして、一緒にゆっくりと溶け合うのだ。
完
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