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外が明るいせいで、同じ三階にある特別教室の窓から中を覗うことはできず、特に面白いものもなかった。
それでも、新井の顔はそこから動かない。
雨を眺めているわけでも、隣の校舎を見ているわけでもない。
誰もいない三階の窓辺でたたずむ新井の顔は、おそらく誰にも見せたことのない種類のもの。彫像が彫像であるための美しさを、そのまま体現したかのような新井。
その表情が微かに動いたのは、外がさっと暗くなった時だった。
陽が陰り、鬱屈とした厚い雲がさらに雨足を強める。
その左端で、何かが動く。
つられるようにそれを見た新井の目に、カーテンを引こうと窓辺に寄ったらしい白衣姿の教師が映った。
じわり、と、新井のズボンに入った長方形の紙が熱を持つ。
壁の白が雨でうっすら青みがかり、額縁のような窓枠の向こう側に立つその人物は、新井の拾った写真の中では、赤く、染まっていた――。
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