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 平均的身長で、成長期は遅かったものの徐々に筋肉もついき、学生時代ほどの折れそうな雰囲気はないはず。にも関わらず、成人してからもあれこれと厄介事に巻き込まれるのは、やはり自分の顔のせいかと認めざるを得なかった。  そういった経緯もあり髪を伸ばし始めたのだが、たまにそれをかいくぐり近づいてくる者がいる。  それが今、目の前にいる、派手な背格好の生徒だった。 「それで?」  百八十前後の高身長に加え、明るい柔らかそうな髪が無造作にあちこちに跳ねてはいるが、それはいかにもラフさを装い整えられたものだとわかる。真っ直ぐな鼻筋は高く、日本人にしてはハッキリとした顔立ちの生徒は、シャツの胸ポケットのラインから二年生と分かった。だが、見るからに男女にモテそうなその生徒に、涼は残念ながらまったく見覚えがない。 「君が僕の落とし物を拾ってくれたことには感謝するが、渡さないというのなら何故ここへ?」  軽いノックの後に顔を出した生徒は、その写真を指で挟んで顔の横へ掲げて見せておいて、それをすぐに後ろポケットへ入れたのだ。  涼は、何をしに来たのか分からない、という困惑顔を作り、その生徒を見つめた。  彼の視線に潜む光は、過去に涼が幾度となく見てきたものだった。だからこそ、教師が生徒にとるに相応しい態度をことさらつくろうしかない。     
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