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運動会の当日、私がリレーで一最後尾に並んでいる時も、松葉杖を立てかけて椅子に座っているミナちゃんの事ばかり気になっていた。
「よーい!」
スタート地点に立つ先生は、そう言ってスターターピストルを空に向かって撃った。
いつもなら、今年こそ勝つぞ、と心が燃えたぎっていたのに、隣にミナちゃんがいないとそんな気も起こらない。
それでも、受け取ったバトンを握りしめ、私は前の走者を次々と追い抜いて、誰よりも速く白いゴールテープの向こうに走り抜けた。
喝采とともに、私は一位の旗の後ろに並んだ。
初めての一位だった。
徒競走でも同じ。
みんなは喜んでくれたけれど、私はまったく嬉しくなかった。
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