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「昔から、どうしても勝ちたくて、毎日毎日飽きずに走り込んで。学校の行きも帰りも、どこに行くにも走ってた」
そうだよ。私はミナちゃんに勝ちたくて。
「私、負けず嫌いだから。負けたくなくて、気を抜いたらすぐに追い抜かれてしまいそうで。ユウちゃんに、いつか抜かされるんじゃないかって、いつも焦ってる」
ミナちゃんは、真剣な目で私を見た。
「正直、来年はどうなるかわからない。こうして怪我をしている間に、ユウちゃんの方が速くなるかも。でも、私は負けないよ。怪我が治ったら、また毎日トレーニングする。誰よりも先に、あの白いゴールテープの向こう側に行くんだから。だから、来年は勝負しようね。ユウちゃん」
そう言って、ミナちゃんは微笑んだ。
ミナちゃんも、毎日走っていた。
負けないように。
追い抜かされないように。
私と同じだった。
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