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それでも痛みがまだあり、微熱もまだある。血尿などの症状もまだあることから、暫くは騎士団に入院ということになった。
同時に、ランバートが輸血を申し出てくれた事、犯人が無事に捕まっていることを知った。
思わず「生きて?」と問いかけると、エリオットは苦笑して「えぇ」と言った。なんでも、ランバートが手を回したらしい。あの父を押さえたとなると、なかなか度胸のいる事だ。
一通りの説明を受けて、納得をした。経過を見ることにはなるが、一ヶ月以内にはヒッテルスバッハの家に移り、症状が完全になくなれば自由に出来るとのこと。ただ、やはり水分はこまめに取る事だ。機能が低下する事は間違いないのだから。
エリオットが出て行き、チェルルが側につく。そしてスルリと、手を撫でた。
「心配かけて、ごめんね」
なんて声をかけたらいいか分からないけれど、とりあえずここから。思って言えば、泣きそうな顔をされた。
「俺、一人になるんじゃないかって思って……こんなに怖いの、初めてだ」
いまいち疲れて力の入らない手を持ち上げられて、スルリと頬ずりされる。それが、心地よかったりした。
「俺、先生がいないのなんて想像できないんだ。もう、こんな怖い思いはしたくない」
「ごめんね。こんな事の方が珍しいんだ。普段はもっと……」
「これからは、俺が先生を守る」
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