闇に生きる(ハムレット)

2/10
353人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「ランバートとここにきた黒猫くんね。別荘地で見たんじゃないかしら? あいつもあの別荘地に別宅があったはずだし。特に隠してなかったでしょ?」  つまり、見ていたということか。何とも忌々しい。  今頃、チェルルはどうなっているのだろうか。無体な事をされていなければいいけれど、取り調べとなるとどうなんだか。我慢するから、それでも言いたくない事は言わないだろう。  怪我など、していないだろうか。辛い思いをしていないだろうか。早く、この腕に抱きたい。どうして無理に戻って来たんだ。危険なら、ハムレットのほうから国を出たのに。  思わず手に力が入った。とにかく現状をどうにかしなければ。 「あいつが私情を挟んで、声高に城の貴族達を先導しようとしている」 「今朝の事ね。物々しい捕り物だったもの、話は入ってるわ」 「取りもどす」 「取引を持ち込まれたっていう商人が何人かいるはずだから、リストを渡すわ。あんたが相手なら、もっと早く話を出すわよ」 「お前の兵隊に集めさせろ」 「強引ね。まぁ、仕方ないか。あんたに恩を売っておくのは今後の為になるわ」  ブラックが片手を上げると、丁寧に礼をしたユアンが下がっていく。コレで動き出すはずだ。 「欲しいのは奴が裁判に私情を挟んでいる事。更に言えば、うちに裏取引をさっさと持ち込んでくれれば奴の誠実さが崩れる」 「でも、事実は……」     
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!