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「だが、陛下の暗殺未遂や妃殿下の暗殺未遂がある。シウスの暗殺未遂もか。これについては厳しい目が向けられるだろう」
「正直な所、どのくらいの罪状が下ると思っている?」
「知り合いから言わせると、死罪はない。隣国との関係もあって、これに関しては間違いがない。だが、最悪国外追放。一番良いと、期間限定の観察処置」
「随分開くな」
「それだけ当日のチェルルの様子や、彼の行った事への客観資料が大事になるということだ」
だが、命を取られる可能性がないのならいい。最悪、ハムレットがこの国を捨ててもいいのだ。
「ギネスの信用を貶める資料は揃ってきた。お宅のコウモリは優秀だね」
「お陰様だ。だがあれはシウスに預けたようなものだからな」
「宰相さんにも頭があがらないや」
「いいさ、持ちつ持たれつだ」
くくっ、と笑うクラウルは雰囲気が柔らかくなった。きっと、恋人のおかげなんだろう。西の混乱時、大事に抱えてきた青年をずっと不安げに、声もなく側にいたのは印象的だった。幼馴染みの為に必死になっていた男は、それとは違う他人を見つけたのかと。
「それと、チェルルの様子も少し聞けた」
「どう、している?」
不意の言葉に少しドキリとする。傷ついたり、辛い思いをしていないかが心配で、顔が見たくてたまらなかった。
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