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「ご飯、食べなきゃだめだよ。あと、寝てる? 疲れた顔してる」
「君を抱っこして寝るからいい」
「いつになるか分からないのに」
「そんな事させない」
あいつを追い落とす事はもう出来る。それは必ずやる。けれどチェルルの処遇はそことは関わらないから。
本当に、いつになるか分からなかったらどうしよう。半年? 一年? まさか一生なんてこと、ないと信じたい。待ち続けるつもりはあるけれど、この思いはいつまで持ち続ければいいの。
「先生……」
チェルルの手が頬を撫でる。濡れているのは自覚している。
「大丈夫だから、待っててね」
首に手を回したチェルルが、触れるだけのキスをしてくる。間にある物がとても邪魔だ。こんな物を取っ払って、今すぐにでも直接体に触れ、温かな場所で離れた時間を埋めたい。抱きしめて、愛したい。
「先生、泣いちゃだめだって」
「煩いな、猫くん。誰がこんな……」
「俺も我慢してるんだから……ずるいよ」
膨れていったチェルルの目にも、薄ら溜まっていた涙が落ちる。それを唇を寄せて舐めとって、真っ黒い髪を撫でた。
「絶対に、ここから出してあげるから待ってるんだよ」
「先生、無理しないで」
「僕の黒猫を迎えにくるのに、無理もなにもないよ」
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