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背中を撫でるランバートの手が、今をほんの少し癒やしてくれている気がした。
その帰り道、わざと馬車は使わなかった。ずっと視線を感じている、その正体を確かめようと思って人目のない道を選んでいる。
すると単純に、十数人の男達がここぞとばかりにハムレットを囲った。
「単純。まぁ、助かるけれどね」
むしゃくしゃしているから、丁度いいかもしれない。何よりこちらは攻撃を受けた方で、殺さなければ自己防衛でいけるはずだ。
持っていた杖で軽く地面を叩く。そして、取り押さえようと乱暴に近づいてきた男の顔面に硬い持ち手部分を埋めた。
「ぐはぁ!」
「これ、自己防衛だから悪く思わないでよね」
それを合図に次々とゴロつきのような男がハムレットに殴りかかり、時に剣を抜いたがハムレットはそれを上手く避けていく。
これで、帝国の闇を統べると言われる一族だ。ランバートほど腕は立たなくても、こんな奴等に好きにされるほど落ちぶれてもいない。
かっこつけだとか、オシャレで杖を持っているんじゃない。ハムレットの杖は持ち手部分がタガヤサンという非常に硬い材質でできている。強く打ち込めば骨にヒビを入れる事も可能だ。
「こいつ、弱くないじゃないか!」
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