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黒いマントのようなコートを纏うハムレットはニヤリと笑う。そして、逃げようとする男の足を杖の部分を殴る。足を押さえて転がった奴は転がしたままに、次へと向かって行く。
三〇分もしたら、その場に立つのはハムレットだけとなり男達の呻き声が煩かった。
「さて、誰の差し金かな? なんて、今更聞くまでもないかもね」
側に転がっている男の腹を蹴って仰向けにしたハムレットは、その首筋にステッキの先を押し当てた。
「ギネスの差し金だよね?」
青い瞳が見下ろす。その冴え冴えとした光に怯えきった男は無言のままに頷いた。
「素直なのはいい事だね、これ以上痛い思いをしなくてすむ。それじゃ、後は騎士団に任せようかな」
スッと瞳を向ける先に人の気配がして、スッと消える。知っている気配だから、後はそこに任せる事にした。
「それにしても、僕まで監視付けるなんて酷いよね、団長さん」
呟くもののそう恨んだ様子もなく、ハムレットはコートの裾を翻す。そして、暗い王都を颯爽と歩き去ったのだった。
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