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黒猫の決意(チェルル)
城の一角にある裁判所は、重苦しくて冷たい印象がある。扇形の席の正面には黒いローブ姿の若い裁判長がいて、隣にはカールが座る。その両サイドには裁判に関わる人物なのだろう、難しい顔をした男達が列席している。
扉の側には裁判所の役人なのだろう人物がついて、封鎖された。
「被告、チェルルの裁判を開始する。ここでの発言は公式な記録として残され、偽証は許されない」
裁判長が宣言し、チェルルもそれを誓った。
訴える側なのだろう、そこに座る四〇代らしい男が立ち上がり、声高に声を上げた。
「この者はまごう事なきテロリストであります! こんな危険人物を帝国内部に入れる事は危険極まりない事。即刻処分を!」
四〇代の小柄な男、ギネスはまるで演説でもしているような高圧的な声で言う。その隣りにいる数人の若い男も腕を組んで頷いていた。
「異議あり」
そう声を上げたのはギネスの対面の席にいつシウスだった。彼は静かに立ち上がると、紙面を読み上げた。
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