黒猫の決意(チェルル)

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「判決までの時間、指定された家での生活を命じる。裁判所の役人を常に配置する事になるが、騎士団の人間と申請のある者の面会を許可する。逃げれば罪を逃れられない事を念頭に過ごしなさい」  それを告げると、裁判長は木槌を打って閉廷を宣言する。  ギネスは役人につれていかれ、チェルルの側にはハムレットがきて、ギュッと強く抱きしめられた。 「先生……」 「バカ猫。君の腕や足がなくなったら、僕はどれだけ苦しいか分かってるのかい? どれだけ悔いたって、戻ってこないんだよ? そんな事にするくらいなら、僕がこの国を捨てる」 「ダメだよ!」 「ダメじゃない! 君が傷つくくらいなら、僕は今の生活なんて簡単に捨てられる。幸い、医者なんてのはどこでだって引く手数多なんだからね」  抱きしめる腕が微かに震えて、苦しそうな声で伝えられる言葉が落ちてくる。チェルルは素直にその胸に顔を埋めて、頷いた。 「おかえり、チェルル」 「ただいま、ハムレット」  小さく互いに告げた言葉が、ようやくチェルルの胸に安堵を与えたのだった。
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