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その夜、別荘地からハムレットが到着し、珍しく帰宅したジョシュア、更にはアレクシスまでが集まってチェルルの事が伝えられた。
ハムレットの、あんなに不安な顔を見たことがない。見る間に血の気が引けて震えた彼は話を全て聞き終える前に立ち上がり、猛然と扉に向かって突進していく。
だがその動きは両脇からジョシュアとアレクシスがほぼタックルのような当たりを食らわせて無理矢理鎮圧され、更にアレクシスによって椅子に縛りつけられた。
「何をする兄上!」
「短気を起こすな単細胞。家名を傷つける事は許さん」
「このままじゃ僕の大事な子がどうなるか分からないんだよ!」
「だからってそのまま動くなアホ。第一、お前どうやってチェルルを助けるつもりでいる」
「城に乗り込んで牢をぶち破る!」
「死ねアホ」
呆れ顔のアレクシスは素が出ている。厳しい様子で睨み下ろす氷の麗人は、盛大な溜息をついた。
「訴えているという大臣の筆頭は、実は予想できているんだよ」
「やはり彼は、うちのゴタゴタに巻き込まれたのか父上」
困ったように溜息をついたジョシュアに、ランバートは問いかける。それに更に苦笑を深くして、ジョシュアは頷いた。
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