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「ギネスという大臣なんだが、どうやら最近うちの仕事に横入りしようとしてしくじり気味らしい。損失が出ているとかで、焦っている。そいつが声高にテロリストの排除と厳しい処分を訴えている。ハムレットが匿っているのを知ってのことだろうね」
「国からの要請だっただろ?」
「あぁ、そう言ってそこについては取り合っていない。国外退去となり、彼らの罪は国を跨ぐ事もあって問わない事が決まっている。だが、チェルルの場合はね」
国を移したいと希望する彼の上に、拭えない事実がある。本来はテロ行為をチャラにできるだけの功績を彼は上げているし、情状酌量もある。反省の意志もあり、帝国に対する謀反も今後は考えられない。更に言えば隣国の王の近習みたいなものだ、無体な事をすれば国際問題だ。
「本当に、律儀な子だよ。こんなのの為に危険を承知で戻ってくるなんてね」
ジョシュアは溜息をつきつつも、少し嬉しそうだった。そして進み出て、尚も荒れまくるハムレットの頭を思いきり拳骨で静めた。
「お前が落ち着かなくてどうするんだい、愚息。まったく、それでもヒッテルスバッハの子かい、情けない」
「煩いぞ父上!」
「おや、父上様に逆らおうというのかい?」
「クソ親父」
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