巻き込まれたチェルル

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「口が悪い。まぁ、それだけ大事な子だってことで大目に見てあげよう。いいかい、ちゃんと聞きなさい。声高にテロリスト排除を謳っているギネス大臣が望むのは我が家との裏取引だ。煩く喚くのを止めて欲しければ、自分が新規の事業に割り込める隙を作れと言ってくるだろう。そこに、奴の落としどころがある」  ジョシュアの言葉に、ハムレットはピタリと罵詈雑言を止めた。そして、酷く暗い目で真っ直ぐに闇を見た。 「いい目だ。乱暴な方法ではなく、奴を落とせ。我が家はあんな小物と取引するつもりはない。欲しい物は己の力で手にいれる。それが、我が家のやり方だよ」 「……ランバート、裁判はいつになるか分かる?」 「一週間はかかるはずだ。取り調べがある。幸いここにはその大臣の意向は挟まれないはずだ。それも、表向きだけれどね。逆に事情を一番に知っている軍も大きく感情論での話はできない。裁判官と、陛下を落とせるネタがないと難しい」 「はっ、十分。叩いて埃の出る奴なら、出なくなるまで叩き倒すのみさ」  そう言ったハムレットの目には、既にいつもの鋭さが戻っていた。  無言のまま縄を解いたアレクシスを一睨みしたハムレットは軽く体を解す。そして、闇に身を溶くように消えていった。
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