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「クリスマス、正月、そんな毎年あるイベントに浮かれていてはいけない。まだまだおまえたちにもチャンスはあるんだから。一月は行く、二月は逃げる、三月は去る。あっと言う間に終わる三学期は中間考査がないからな。期末の一発勝負だ。冬休みに浮かれずに学んだものだけが勝てる。一度の期末考査で、せめて上位クラスに食い込むことができれば、目指せる大学も変わる。2年の冬休み、それが重要だ。君たちはまだ真っ白なキャンバスなんだから、これからそこにあらゆる絵が描ける。そのためにまずは3年で上位クラスに入ることだ。心してこれまでの復習をしっかりしてください。以上」 教室の中はシンと静まっている。 誰も何も言わないことが茜は不思議な気がしていた。でも自分でなにかを言うこともしなかった。 そういうキャラではないから。 ガタガタと椅子を引く音がして、みんなが黙って頭を下げる。 (なんておとなしい子羊たちなんだ。) 竹地は自分の短い演説に満足していた。 自分が担任する二年B組。あと一歩で上位クラスA組に入れる実力の生徒も数人いる。 一人でも多くいい大学に行かせてやりたい。それで未来は変わる。 竹地は信じていた。     
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