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うつむいた視界に無数の白が舞っている。 雪だ。 濡れたアスファルトに落ちて、溶けて行く。積もるほど温度は低くないらしい。 とはいえ冬の夜が寒くないわけはなく、吐く息は雪の合間を白く漂う。 きっと二人の間の温度も、似たようなものだったのかもしれない。 雪の積もるほど冷たくはなく、しかし落ち着いて長居できるほど暖かくはない。 暖かくなれないのなら、いっそ雪の積もるほど冷たければよかった。 早々にあきらめがつく。 何度更新しても新しいメッセージの入らない画面に、結晶の形が崩れた雪が張り付いて溶けた。
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