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それでも俺は、別れの理由は話さないという筋書きを変更することは無かった。
『君の父親に前科があることが分かり、警察官として生きていきたい俺は君とは結婚ができない。かと言って、君との関係を曖昧にしたまま共に歩むことは君にとっても良くないはずだ。愛してるけど別れてくれ』
たとえオブラートに包んだとしても、俺とさえ付き合わなければ知ることのなかった酷な話をわざわざ伝える必要があるのか。
ないだろうと結論した。
かと言って、存在しない他の女をチラつかせるような嘘もつけなかった。
君は強く、俺ばかりが君を必要としてるのだと思っていた。
いつだって君は俺に寄りかかることは無かったから。
君の母親が亡くなった時でさえ毅然としていて、俺は綺麗な涙しか見てこなかったように思う。
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