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 そんな環境だが、特に不満はない。自由か否かで言えば圧倒的に不自由だろうが、食う寝るに困らず暮らせるのは有難かった。親に放棄された自分だが、ここならば、仕事をこなせている内は棄てられずに済むだろう。  監獄めいたこの施設と、たまに顔を見る上司と、小さな自室に、白い部屋(おり)。  それで世界は完結していて、それが全てだと言って良かった。  そう、彼女がやって来るまでは。
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