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「あの……? ええと、どうしたんですか? もしかして、具合、悪いんですか?」  白無垢が立ち上がり、こちらへ向かって歩き出した。だが、足枷に繋がれた鎖は短く、狭い部屋の半ばまで来たところで限界が来た。そのまま鎖に引っ張られて転びそうになった白無垢の身体を、慌てて支える。白無垢は血液も肉も白いから、怪我をしたからといって何かの色に染まるようなことはないし、そもそも嫁入り時前なのだから、そこまで神経質になることはない。だが、キズモノにしたという時点で商品価値に影響が出たとしたら、待ち受けているのは管理不足を責める折檻だ。それは避けたい。  何事もなかったことに胸を撫で下ろしつつ、すぐに身体を離し、白無垢をベッドに戻す。いくら染まらないと判っていても、汚してしまいそうであまり触れたくはないのだ。 「ご、ごめんなさい……あんまり動けないんですね、これ。あの、怪我とかしてませんか?」  座った白無垢が恐縮し切ったようにそう言うものだから、なんだか変に気が抜けた。     
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