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え? 気になるって? いやいやいや、そんなに大したことじゃないんだよほんとに。単なるおじさんの独り言。いやほんとに大したことないんだって。んー弱ったな……、そこまで聞いてくるなら教えようかな。
君も僕みたいな人間に興味持つなんて珍しいね。こりゃもしかして、遅めのモテ期到来かな! ってうそうそうそ。ちょっと行かないで。ちゃんと話すから。
実はね、僕は小さい時に一度だけお告げの夢を見たことがあるんだよ。そう、お告げの夢。あ、その顔は絶対に信じてないでしょ。え? 信じるかどうかはこれからの話しで決めるって? まあそりゃそうだよね。
じゃあ話すけど、これがまたえらく変な夢でね。夢の中で気がついたら、いつの間にか大きな池の前に立ってたの。
しかも何故か池の水が全部その色に染まってるんだよ。これまた変な所に来たなーって思ってたら、池の中心から今度はいきなり女の人が現れるから、もうビックリ!
巫女装束って言うのかな。そんな服を着てるんだけど、これがまたおかしな姿しててね。服も身体も顔も、全部その色に染まってるの! もう怖いのなんのって。そしたらもっと恐ろしいのがね、その人が不気味な顔して言うわけよ。
「この先お前は六十年後の誕生日を迎えるまで絶対にその色の名前を言ってはいけない。もし一度でも口にすれば、お前はその時間から永遠に抜け出せなくなる」って。
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