振り出しに戻るの巻

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振り出しに戻るの巻

 どうしても最後に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?  ほら、あの色何て言ったっけ? こう、簡単な漢字一文字の……。    え? もう売り場に戻らないといけないって? ちょ、ちょっと待ってよ。定年退職したおじさんの質問に答えていってよ。お願いだから。  何だって? 僕もそろそろ売り場に戻ったほうがいいって? 大丈夫、大丈夫。バイト始めたばっかりのおじさんなんて即戦力にならないから。あ、でもサボってるわけじゃないんだよ。ほんとだって。君こそこんな人気がない場所なんかに来て、サボりにきたんじゃないの?  え? 用事しに来ただけだって? あ、ちょちょっと待って。ごめんごめん怒らないで。別に疑ったわけじゃないから、まだ行かないで。ね?  それに今すごく大切なことを思い出そうとしてるから、一緒に力を貸してほしいのよ。そう、さっき言ってたやつ。色の名前のことなんだけどね。  どうしてそんな話が大切かって? どうしたもこうしたも、これが重要なんだけど…………いや、たぶん言っても信じてもらえないと思うから、やっぱりいいや。     
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