ホワイトアウト

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「あれ見ろよ。もうすぐ着くぞ、良かったな」 彼が滑りをとめて指を差した方向に、うっすらと建物が見えた。 辺りは既に暗くなり始め、その建物がオレンジ色のライトに照らされている。 漸く私は安堵の息を吐いた。 「良かった……」 「一つ、貸しだからな」 「はい……すみません、本当に……」 ほら、また。 彼は私の言葉も聞かずに、颯爽と飛び出していった。 もう、あの優しかった彼は居ない。 だから、早く諦めるべきなんだ。 雪の振り方が弱まり、進むべき道が決まった。 それと同じように、私の恋の行方も行く先を定める時が来た。 意を決して、滑り始める。 あの、センターハウスに着いたら……。 私は、この恋をきっぱりと諦める。
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