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翌朝は私の憂鬱など関係なしに一面爽やかな青空が広がっていた。
昨夜心配そうに私を待っていてくれた同期の子達に彼との特訓を何とか阻止出来ないかと相談したのにも関わらず、無情にも笑顔で送り出されてしまった。
せめて彼女達も一緒に居てくれたら彼の不機嫌さも和らぐかと思ったのに。
「はぁ」
朝起きてから何度目かの溜め息。
「あ、悪い。早かったな」
「おはようございます。あの、やっぱり私、優香達と滑ります。西尾くんにこれ以上迷惑掛けたくないし、優香にも相談したらその方が良いんじゃないかって言ってて……」
嘘の罪悪感に彼の目を見ることが出来ない。
「本当にそれ、山田が言ってたの?」
蛇に睨まれたカエルの気持ちが、今ならよく分かる。
普段より低い声を聞くだけで身が縮こまる。
「……うん、そう。だから私、もう行くね」
早く、逃げたい。
気が急く。
「ちょっと待った!」
ガシッと掴まれた手首にうろたえながら目を落とす。
「本当に山田がそうやって言ったのか?本当は違うだろ?増山にスキーの特訓してやったらって山田から提案されたんだけど」
彼の表情がどんどん険しくなっていく。
ああ、ごめんなさい、神様。
安易な嘘をついたから、バチが当たったんだ。
彼の事はちゃんと諦めるけど、でも、これ以上彼に嫌われたくはありません。
だから、この恋のホワイトアウトからの脱出方法を教えて下さい!
私を正しい道へと導いて!
お願い、神様っ。
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