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漸く着いたセンターハウス。
帽子やスキーウエアに付いた雪をはらいながら中に入っていく。
ふわっとした室温に包まれて漸く人心地がつく。
早足で前を歩いていく彼の後を追って私も早足で歩く。
「あの、西尾くん。今日は、その……迷惑かけて本当にごめんね」
ピタリと彼の足が止まってこちらを振り返ったがその表情は明らかに不機嫌だった。
「本当だよ」
その声の冷たさに、私の心も冷えていく。
ううん、よそう。
彼の声色一つに傷付くのはもうやめよう。
私はもう諦めるの。
だから、大丈夫。
傷付いたりしない。
繰り返し自分に言い聞かせる。
落ち込んだ気持ちを切り替える為、彼に伝わらないように小さく息を吐いた。
「ごめんなさい。……あ、あの、じゃあ私、みんなのとこ戻るね」
「あのさ、今回は無事に見つけられたから良かったけど、あんま人に心配掛けさせんなよ」
彼がため息混じりに呟く。
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