真白の呪縛

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 白は純粋の象徴だって言うけど、それは嘘だ。  そう思うのは、『真白』――『純白』と同じ意味の名前を持った幼馴染のせいだと思う。 「ひどいなぁ、彩ちゃん。まるでぼくが名前からかけ離れているみたいな言い方して」  天使みたいな顔で真白が笑う。誰もが蕩けてしまうような可愛らしい笑みだ。だけどそれが上辺だけのものだって、どうしてだかみんな気付かない。  純粋だってふりをして、天使だって顔して。  全然そんなんじゃないくせに。 「彩ちゃんにはそう見える。他の人には違うように見える。多数決なら彩ちゃんは少数派だよ?」  みんなが勝手に期待して、真白がそれに応えて。  だから真白は『天使みたいな』『純粋無垢な』子だって、そう思われてるだけなのに。  それはただ、本当の真白をみんなが知ろうとしないだけなのに。 「うん、そうだね。彩ちゃんはそういう子だね。だから生きにくいんだよね」  うるさい。確かに私は周りから浮きがちだし『周りに合わせる』みたいなのが得意じゃないけど、そういうことをずけずけ言うくせして『名は体を表しますよ?』みたいな顔をしているやつに言われたくない。
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